「十一」、「五一」、「春節」といった中国の大型連休には、旅行の需要が高まってきます。
これらのシーズンには一般的に民宿の予約も増えてきますが、最近は地域によって状況が少し異なるようです。一部の民宿では客足が減少しています。
例えば、雲南省のある民宿は16部屋がすべて予約で埋まり、料金も通常より40%ほど上がっています。しかし、湖南省の観光地・張家界では、「13部屋のうち半分しか予約が取れていない」と経営者が嘆いています。
このような違いは、観光地や民宿のサービスが影響しているようです。
『2024年中国民宿業界研究報告』によると、麗江や大理などの観光地では、民宿の数が急増していますが、それに対して観光客の数が追いついていません。
また、「どこでお金を稼げるか」を基準に、多くの民宿が同じ場所に集中する傾向があるといいます。その結果、過当競争が起こり、どの民宿も満室にするのに苦労しています。
また、近頃では、民宿の実際の部屋が写真と違うと感じる人が増えています。
「きれいな写真に期待していたのに、泊まってみたら残念だった」という声も多く、これを「盲箱(クジ引きの箱)」と表現する人もいます。
こうした不満から、「予想外のトラブルを避けたい」という理由で、ホテルを選ぶ旅行客が増えているようです。
また、民宿の80%は個人事業者によるものです。専門的な運営スキルが不足していることも、民宿のサービスにばらつきが出る原因の一つです。
こうした問題に対応して、業界全体の質を向上させるため、2024年には『民宿管家国家職業標準』という規則が導入され、サービスの基準が示されました。今後は、このような標準化が業界の成長に必要とされています。
中国では民宿を利用する目的が「泊まるため」から「特別な体験をするため」に変わりつつあります。
例えば、杭州にある茶畑の近くの民宿では、宿泊者が茶摘み体験を楽しめるプランが提供されています。
また、中秋節の期間中は、伝統衣装である漢服を着て古い街並みを歩くツアーが若者の間で人気となり、漢服関連の宿泊予約が70%も増加しました。
民宿は単なる宿泊施設ではなく、現地の文化や体験を楽しむ場所へと進化しています。これからも、観光客に魅力的な体験を提供することで、民宿の人気はさらに高まるかもしれません。