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中国の高齢者がショート動画に夢中!7時間20円の報酬目当て

中国の高齢者の間で「動画を見るだけでお金がもらえる」スマートフォンアプリが静かなブームとなっています。

『人民日報』によると、重慶市に住む鐘さんは、正月に帰省した際に、高齢の親戚たちが集まっていても、ショート動画を延々と再生している姿を目の当たりにしました。

その理由を尋ねると、「視聴すればキャッシュバックがあるから」とのこと。鐘さんの伯父は、毎日動画を見続けることで、月に約100元(約2000円、1元=20円)を得ているそうです。

この記事では、あるショート動画アプリの仕組みが紹介されています。動画を再生するごとにポイントが貯まり、1万ポイントで1元(約20円)に換金可能だそうです。

1本20秒の動画で得られるのは8ポイント程度なので、1250本の動画、約7時間の視聴でようやく1元が手に入る計算です。さらに、新規ユーザーの紹介、ゲーム、広告閲覧でもポイントが貯まるなど、アプリ側の工夫も相まって、長時間の利用が促されています。

西南大学の教授は、「こうした返金型アプリは、ユーザーの関心を引きつけるマーケティング手法として機能しているが、特に高齢者にとってはリスクが大きい」と指摘しています。長時間のスマホ使用による視力低下やけんしょう炎、社会的孤立などの健康被害が出るほか、個人情報流出や誘導課金の被害に遭う可能性も高いとされています。

また、清華大学の劉研究員によれば、こうした手法は法律の「抜け穴」を利用しており、実際には『中華人民共和国反不正当競争法』に抵触する可能性があるとしています。特定の利用者にだけ返金を行い、その結果、アプリの人気や信頼性が高いと錯覚させることが、不正な宣伝にあたるという見解です。

中国の高齢者がこのようなアプリに夢中になる背景には、「孤独」や「退職後の暇つぶし」という社会的な要因もあります。子どもたちが忙しく、会話の機会が減る中で、ネット上に活路を求めるのは自然な流れかもしれません。動画を見ながらお小遣いが稼げるという「手軽さ」も手伝って、利用者が増え続けているようです。

2024年末時点で、中国の60歳以上のインターネット利用者は14.1%を占めており、今後も増加が見込まれています。しかし、誰もが安全にネットを楽しむためには、リテラシーの向上が欠かせません。

各地のコミュニティでは、詐欺防止やスマホ講習を通じて各種の支援策が進行中です。例えば、重慶市江北区では、実際のトラブル事例を用いた講習会を開催し、「ダウンロードしない」「課金しない」「夢中にならない」という三原則の啓発が行われているようです。

お年寄りがネットに夢中になると、それにともなうリスクは大きいです。アプリ規制の強化はもちろんですが、身近な家族が高齢家族と積極的に関わり、高齢者自身が日々の生活を楽しく過ごせるように計画すれば、さまざまな対策で高齢者をネット依存から救えるかもしれません。

参考:刷手机,老年人也要防沉迷

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