中国で高齢者が若者よりも幸福感が高い現象が注目されている中、実際に世界の多くの国で同じ現象が見られています。
『2024年世界幸福報告』によると、1965年以前に生まれた世代は1980年以降に生まれた世代よりも幸福感が高いという結果が出ています。
特にアメリカやカナダ、オーストラリアなどの国では、若者の不幸感は高齢者の2倍に達しているそうです。
高齢者が幸福を感じやすい理由には、感情コントロール能力の向上、人生経験の豊かさ、生活期待が低いことなどが挙げられます。
中国の70歳の女性・王さんは、若い頃は家族や仕事に追われていたものの、退職後は歌やダンス、旅行など趣味を楽しみ「自分のために生きる」喜びを実感していると語ります。
ある調査では、60~70代の高齢者のうち98%が積極的に老後生活を楽しんでいると答えており、「自由な時間を大切にする」という意識が広がっています。
幸福感を感じる人は感じられない人より平均10年も寿命が長いという研究結果もあります。歳取っても取らなくても積極な気持ちで生活し、感謝の気持ちも忘れず生活することはこれほど重要なのかと思い知らせてくれます。
現在、中国の60歳以上の高齢者は約2億9600万人に達し、2035年には4億人を超える見込みです。
こうした中で注目されているのが「銀髪経済」です。これは高齢者を対象とした商品やサービス市場のことで、健康関連商品、旅行、再就職支援、老年大学、金融サービスなどがその一例です。
特に60~70代の「新老年人」と呼ばれる世代は健康維持や趣味に積極的で、従来の高齢者とは異なる消費パターンです。これが市場の拡大につながっているようです。
また、金融機関も高齢者向けの資産運用サービスを充実させ、消費意欲を高める工夫を進めています。中国社会の高齢化はさらに進むと予想されており、「銀髪経済」は今後も大きな成長が見込まれています。