2024年の国慶節を前に、中国不動産市場は大規模な政策緩和を迎えました。
9月24日に中国人民銀行が住宅ローンの利率引き下げを指示し、2軒目の住宅と1軒目の家を買う時の頭金比率を統一することが発表されました。
9月29日には北京、上海、深圳、広州といった主要都市で住宅の購入制限が緩和されました。特に北京では北京の戸籍を持っていない人が住宅をもっと購入しやすいように条件が緩和されました。
この一連の措置により、不動産市場に活気が戻ることが期待されています。
不動産仲介業者によると、これまで購入を諦めていた層が市場に戻ってくるとの見通しです。
一方で、売手側では価格の上昇を期待して「様子見」する動きも見られます。
住宅ローンを抱える購入者にとって、金利の引き下げは大きなメリットになります。
例えば、300万元(約6000万円、1元=20円)のローンを組んだ場合、当初5%以上だった借り入れ金利が政策変更後に4%台まで引き下げられると、毎月の返済額が1万8000元(約36万円)から1万5000元(約30万円)に減少します。
日本の住宅ローンでは長期にわたって安定した低金利で利用できるのと対照的に、中国では金利の高さが課題でした。今回の政策により金利面では大きく緩和されました。
日本では低金利が続き、特に都市部では不動産価格が高止まりしていますが、中国では価格が下落傾向にあり、政策緩和によって取引の増加が期待されています。
ただし、中国の若年層の間では住宅購入に対する価値観が変化しており、「住宅ローンが生活を縛る」として賃貸を選ぶ人も増えています。これは日本の若年層の賃貸志向とも共通しています。
政策の緩和で短期的には中国の不動産取引が活性化する可能性がありますが、長期的に購買力の向上に繋がるかどうかは見極めていく必要があるでしょう。