2024年の中国では、ちょっと不思議な物価の変化が起きています。
普段買えるような日常のものは値上がりしているのに、高くて手が届かないような不動産、車、贅沢品などは値下がりしているのです。
家計への負担が増えている一方で、高額商品への関心は低いままとなっていて、インフレとデフレが同時に起こっているような状況です。
たとえば、野菜や果物、トイレットペーパー、食用油、ガソリンなど、毎日の暮らしに欠かせないものの値段はじわじわと上がっています。
『華財知道』によると、農産物の値上がりは、農業にかかるコストや輸送費の上昇、さらに異常気象などがが原因だそうです。日用品の値上がりも、海外からの原材料費の高騰などが影響しています。
一方で、自動車や家、ブランド品といった高価なものの値段は下がっています。しかし、価格が下がっても買いたいと思う人が少ないというのが現状です。
今年の8月には、国内の物価が去年より0.1%だけ上がったと報告されており、一部ではデフレの兆しも見られるようです。
自動車業界では、今年だけで30以上のメーカーが大幅な値下げを行なっています。最大で10万元(約200万円、1元=20円)も値下げしましたが、あまり売れてないようです。
不動産も同様です。広東省のある街では、1平方メートルあたり1万4000元(約280万円)のマンションが7000元(約140万円)まで値下げされています。上海の中心部でも大幅な値下げをしないと住宅が売れない状態です。
これは、コロナ禍などで中間層の収入が減り、失業者が増えていることが大きな原因です。
このような現象の背景には、日用品は生活に欠かせないため需要があり、値段が上がっていても買わなければならない一方で、収入が減って高額な商品を買う余裕がなくなったため、これらの商品の価格が下がっているとみられます。