広東省広州市のある幼稚園が、少子化の影響を受けて、中高年向けの教育機関に転換したことが話題になっています。
少子化が進む中国において、これまでの幼児教育だけでは運営が難しくなり、新たな方向性を模索しての決断です。
『羊城晩報』によると、育徳幼稚園はかつては150クラス、4200人の園児を受け入れていました。しかし、近年では入園する園児が大幅に減り、2024年には入園者数が定員の25%にまで落ち込みました。
そのため、これまで働いていた多くの教師が職を失い、園の運営が厳しい状況に陥りました。2023年には85人の教師ががリストラとなり、2024年にはさらに98人が職を失う危機に直面しています。
そこで、この幼稚園は新たに中高年向けの「シニア大学(老年大学)」を設立し、50歳前後の人たちを対象に、茶道や健康講座、美容や書道などの講座を提供することにしました。
園児の祖父母が主な受講者で、子どもを幼稚園に送り届けた後、そのまま同じ施設で学ぶことができるという仕組みです。
幼児教育から中高年向けの教育に転換するのは簡単なことではありませんが、園長は「高齢化社会において中高年向けの教育は今後ますます重要になっていく」と新しいビジネスチャンスに期待を寄せています。
このような転換は、中国全土で進行する少子化の影響を示しています。幼稚園や保育施設が次々と閉鎖に追い込まれる中、運営を続けるためには新たなニーズに応える必要があります。
高齢化社会と少子化を迎える中国では、様々な対策が企業から国レベルまでに求められることでしょう。